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今回は前回のお話で、すばらしい繁殖システムを持つということで、
ゾウアザラシ君に大変うらやましがられたハナダイさんたちのお話です。
スミレナガハナダイ・オス
↑↑↑ こんな魚 ↓↓↓
スミレナガハナダイ・メス
少しおさらいです。
ゾウアザラシの場合、オスとして子孫を残すためには、まるでケンシロウのようなボスに戦いを挑み、そして倒し、自らがボスにならなければなりません。
・・・・でなければ「あぶれオス」として、一生快感も無ければ子孫も残せない状況になります。
それに比べてハナダイの仲間は、性転換というシステムを採っているため、ハレムを形成するにもかかわらず「あぶれオス」は存在しないのです。
自分がボスになる順番が来るまではメスで居て子孫を残しておいて・・・
順番が来たらオスに変~身! するのです。
仮に順番が回ってこなかったとしても・・・
メスとして、子孫を残すことができるのです。
う~~~~む・・・ すばらしい
おさらいここまで。
しかし・・・
しかし、それならば、わざわざオスに変身しなくてもメスのままでいれば・・・
その方が楽じゃん!
別にメスのままでも何不自由ないわけだし。。。子孫は残せるし。
わざわざオスに変身しなくてもいいじゃん。
その気持ちよくわかります。
しかし、よーーーーーーーーく考えてみると、
ちゃんとオスに変身するべき理由があるのです。
そもそも、いわゆるオスとメスの違いは、おちんちんが付いているかとが、お乳を出すとかではなく、
簡単に作れる遺伝子媒体(精子)を、より多くの相手にじゃんじゃんばらまいて子孫を増やす戦略なのがオスで、
時間と労力をかけて栄養たっぷりな遺伝子媒体(卵子)を作り、よりふさわしい相手を慎重に選ぶ戦略なのがメスなのです。
オスとメスの決定的な違いはコレ↑↑↑です。
【なので、(性転換しない)動物たちは(人間も含めて)、オスがメスを追いかけるのが一般的なのです。】
たとえば人間の場合、
女性の生産する卵子の数は・・・
月に1つとして、、、年に12個・・・
・・・・・ということは一生では大体 400個です。
それに対してオトコの場合・・・
精子を毎日約5千万~数億個ずつ、死ぬまで作られます。
と言うコトは一生では・・・ 1兆~2兆個
こんなに差があるんですね~
これは海を泳ぐハナダイ達にもほぼ同じことが当てはまり、
卵を産むよりも、精子を作るほうが格段に楽で、しかも多く生産できるのです。
よく考えてみると、メスのハナダイのお子ちゃまはそのメスの子供であるのと同時に
オスの子供でもあります。
周りのメスの子供も、そのメスの子供であるのと同時にオスの子供でもあります。
。。。ということは。
ハレムで生まれる子供は全て『たくさんいるメスの子供』であり、『1匹のオスの子供』でもあるのです。
ということは当然、、、
メスのままでいて残せる子孫よりも、オスに変身して子孫を残す方が・・・
オスのほうがスゲーたくさん子孫を残せるじゃん!!
なので、ハナダイ達はチャンスがあればオスに変身したがるのです。
そのへんにたくさん泳いでいる ハナダイ。
彼(彼女)らは人間やゾウアザラシには真似の出来ない繁殖方法を採っているのです。
偉大なのです。
★補足★
生まれた時はみ~~んなメスで、オスに性転換することを「雌性先熟」と言います。
その逆にオス→メスに性転換することを「雄性先熟」と言います。 クマノミがその代表ですね。
もし・・・
あなたのお父さんやお母さんが若くして(あなたを産む前に)死んでしまうようなことがあったなら・・・
あなたは今ここに居ないですねー。
そして・・・
おじいさんやおばあさんが若くして死んでいたら・・・
お父さん、お母さんは居ないのです。
えー・・・ つまり あなたも居ない。
と言う事は、
あなたの祖先の祖先の祖先の・・・・・祖先の・・・まだサルの時代にさかのぼっても、
若くして子供を産む前に死んだ人(サル)は一人もいなかったのです。
なので、あなたは今ここにいるのです。
あなたの祖先で、たった一人でも「若くして子供を産む前に」死んでしまっていたら、あなたはこの世にいないのです。
今、生きているの人の祖先は数ある苦難や危機を乗り越えて生き残って(子供を生んで)きたのです。
そう考えるとスゴイことですよね。
その、ものすごいサバイバル競争を勝ち残ってきたあなたの祖先は・・・
「自分勝手」 で、他人を蹴落としてでも自分は生き残る人のはずです。
そしてあなたも・・・
そう! 自分勝手なのです。
他人を蹴落としてでも自分は生き残る (>_<)
先祖代々そのくらいの根性がなければ・・・
どこかで代が途絶えていて、あなたはいないはずなのです。
周りの人も一緒。
みんな自分勝手なのです。
生物学用語でその理論は、「固体淘汰」と言い、地球上の生き物全てに当てはまることなのです。
逆にみんなで協力して「種の存続を・・・」という理論を「群れ淘汰」と言いますが、
人間も含めて、残念ながらそんな生物は存在しないのです。
当然、海を泳いでいる魚たちにもその理屈が当てはまります。
彼らは、卵から成魚へと成長して、繁殖相手を見つけ、卵を産む・・・
それをずーーーーーーーーっと繰り返していて・・・
今、泳いでいる魚たちの祖先は、若くして誰かに釣り上げられたり、食べられたりして、子供を残さないまま死んだのは1匹たりともいないのです。
何としてでも自分の子供を残しているのです。
そんな自分勝手な魚達は、、、
群れる時も自分勝手なのです。
小魚の群れがいます。
周りを大きな肉食魚が取り囲んでぐるぐる回っています。
小魚は一斉に群れとしてまとまります。
こんなとき・・・
と思っているのは1匹もおらず・・・
・・・と考えているのです。
群れる理由は・・・確率的に安全な「真ん中」に行きたいのです。
・・と言うか、そういう本能なのです。
1匹だけ違う方へ逃げるよりも、ゴチャゴチャした群れの真ん中辺にいた方が生き残る確率が高いでのです。
なので・・ ↓↓↓こんな時も・・・
ではなく・・・
なのです。。。
もし、街を歩いてて ゴジラに襲われたら・・・
この話を思い出してくださいね~
きっとあなたは人ごみの奥へ中へと逃げるはず・・・。
前回の「spな会話」に対して思ったより反響がありまして、
*************************************
人間の場合、
動物界→脊索動門→哺乳綱→霊長目→ヒト科→ヒト属→ヒト種
・・・となります。
サルと人間は「科」までが同じで、「属」で分かれます。
**************************************
・・・という文面に対して
「・・・ということは、サルは『ヒト科』に入るんですかい???」
という質問が多く寄せられました。
「サルは『ヒト科』に入るんですかい???」
入ります・・・ サルはヒト科です。
ヒトがサル科・・と言っているのではないのでショックを受ける必要はありません。
ヒト科に入るのは、チンパンジー・オランウータン・ゴリラの仲間で、
→チンパンジー属
ヒト科 →オランウータン属
→ゴリラ属
そして →ヒト属、、と4つの属に分かれており、
リスザルやニホンザルはヒト科には入りません。
チンパンジー、オランウータン、ゴリラは最も人間に近い生き物だということが
分かります。
・・・という事を例えながら魚の話をすると
とても分かりやすいことがあります。
例えば、
フグ科→シマキンチャクフグと、カワハギ科→ノコギリハギは超そっくりで・・・
シマキンチャクフグ
ノコギリハギ
ベラ科→ホンソメワケベラと、イソギンポ科→ニセクロスジギンポも、そっくりですが・・・
ホンソメワケベラ
ニセクロスジギンポ
どっちも、「目」までが同じで、「科」が違う魚なので・・・
人間 と、ニホンザル くらい違う生き物だし。。。
ニシン目→ニシン科→キビナゴと、スズキ目→イカナゴ科→イカナゴは、姿も名前も似ていますが。。
キビナゴ
イカナゴ
「科」よりもさらに1つ前の、「目」が違う生き物なので、
クジラとネズミくらい違う生き物です。
おまけに・・・
スズキ目・タナバタウオ科・シモフリタナバタウオが・・
シモフリタナバタウオ
ウナギ目・ウツボ科・ハナビラウツボに、似せようとしている、なんてのは・・・
ハナビラウツボ
ネコがライオンにそっくりになろうとするよりもさらにタイヘンで、(どっちもネコ科)
ネコが人間にそっくりになろうとしているのと同じ位タイヘンな事なのです。
・・・という話を聞いてから潜ると
一味違ったダイビングになるかもしれません
潜って、この目で確かめたくなりましたか?
もしそうなら、 あなたは。。。
マニアの素質がありますね。
ログ付けをしている時・・・
ガイドさんたちの会話や、マニアなダイバーさんたちの会話で
こんな話をしているのを聞くことがあります。
「あのハゼ珍しいよね」
「そだね、まだ和名は付いてなくて○×△ハゼのspだね」
「このベラは?」
「これは%&#ベラのspだよ、珍しいよ」
「そーかぁー、sp種だったんだ」
「sp種という言い方はおかしいよ、spだよ」
「そういえば!?@ベラのvarもいたね」
「いや、あれはnup.だよ
「そっか~nup.か」
・・・sp?
何やそれ?
スペシャルに珍しいのか?
var???
パソコンみたいにバージョンアップした魚で
新しい機能でも付いているのか?
マニアな世界では、フツーの人には理解できない会話が
よく飛び交っています。
特にspと言う言葉はマニアが良く使う言葉で、
まるで念仏の如く、spspと記号が飛び交います。
ここはちょいとその辺を覚えておいて、
マニアさんの会話を盗み聞きしてみましょう。
その昔、学者さん達が、
地球上の生物を分類しやすいようにグループ分けをしました。
分類するときは大きいグループから段々細かく分けるのが
分かりやすいですね。
例えば、食べ物を分類する時・・・
こんな感じですね。
・・・という感じで地球上の生物を分類して・・・
かい もん こう もく か ぞく しゅ
(界) →(門) →(綱) → (目) →(科) →(属) →(種)
というグループ分けをしました。
人間の場合、
動物界→脊索動門→哺乳綱(類)→霊長目→ヒト科→ヒト属→ヒト種
・・・となります。
サルと人間は「科」までが同じで、「属」で分かれます。
鳥 (鳥綱『類』) と人間は「綱」で分かれ
昆虫 (節足動物門) と人間は「門」で分かれます。
木 (植物界) と人間は「界」で分かれます。
なるほど、 で?spは?
その(種)というのを英語でspecies(スピーシーズ)と言い
略してspと言っているのです。
つまり、spとは 「~~の一種」ということになります。
そしてvarはvariety(バラエティ)の略で「変種」という意味なのです。
varietyの直訳は「種類」なんですけど・・・。まぁヨシとして。
「sp種」というのは、訳すと「一種の種」なのでヘンな意味になります。
ちなみにnup.とは、婚姻色で体の色を変えてメスを誘っている
オスのことです。
その辺を踏まえて、もう一度最初の会話を聞いてみましょう。
「あのハゼ珍しいよね」
「そだね、まだ和名は付いてなくて○×△ハゼの一種だね」
「このベラは?」
「これは%&#ベラの一種だよ、珍しいよ」
「そーかぁー、一種の種だったんだ」
「一種の種という言い方はおかしいよ、一種だよ」
「そういえば!?@ベラの変種もいたね」
「いや、あれはバリバリのヤル気満々でメスを探しているオスだよ
「そっか~バリバリか」・・・
こんな会話をしてるんですね~
古今東西、いつでもダイバーに大人気のカエルアンコウ。
こんな魚。。。 沖縄では比較的珍しいんです(^^)
でも伊豆辺りで潜ると、1ダイブで5~6匹見るのはアタリマエで、伊豆・和歌山・四国をベースに潜っているダイバーには普通に見られる魚と言っても良いでしょう。
このカエルアンコウ君、普段じっとして動かないし、ダイバーに見つかっても、つつかれてもひたすら「岩」になりきっているし。たまに動く時も「のそのそ~」って感じなのですが、 本気で泳ぐ時は口から水を吸ってエラからジェット噴射で水を出して、それはそれは結構なスピードで泳ぎます。
この前、すごい流れの中で岩にしがみついていたら、ジェット噴射カエルアンコウが自分を抜かしてていき、「!!すんげぇぇ~(@_@;)」と尊敬したことがありました。 そして、カエルアンコウの仲間は捕食(エサを捕まえるの)がとても早いことで有名です。
チョウチンアンコウみたいに、エスカ(疑似餌)を目の前にぷらぷらさせて、それにつられてやってきた魚を一気に丸呑みします。
食べられた魚は「気が付けば胃袋の中」なのです。
そしてそのスピード、 食べ始めから食べ終わりまでが200分の1秒。
ダントツの魚類、、いや動物界一です。
ちなみに2番目に早いと言われているオニダルマオコゼは50分の1秒。
しかもカエルアンコウは、自分の体長の1.5~2倍の魚でも丸呑みにしてしまいます。
もしもですよ、、、 もしも体長1.5m位のカエルアンコウがいたら人間も丸呑みですね。
そして。。。そのカエルアンコウがエスカ(疑似餌)に、お宝生物・・・ 例えば日本には居ないはずのナントカハゼに そっくりなモノでもぶら下げておけば・・・
******* ここは海底、 お宝ハゼ地帯のガレ場 *********
一人のカメラ持ちダイバーが徘徊している。彼はそんじょそこらのハゼには見向きもしない、典型的なレア物ハンターでる。
ひたすら砂地を捜索する彼の視線はさながらターミネーターである。
そんな彼が探しているのは、いわゆるレア物ハゼ。
彼は人が持っていないハゼの写真を写すことに命を懸けている。
彼に見つかったら最後、、、
そのハゼは超強力ストロボ光線の嵐を浴び続けることになるのだ!!
水底を這う彼の動きがなかなか止まらない・・・ 上から見るとゴキブリのようだ。
しかしここは深い、そろそろ時間切れか・・・ 彼の右手に巻かれたコンピュータのアラームが鳴ったその時。
と、そこで彼の動きが止まった! あきらめるのか? い、いや違う。 何か見つけたようだ。
??? !!!! ごぼごぼ
おぉぉー この排気量 かなりのモノのようだ!
うお?!? !!!! 何だあのハゼは!!
ピコピコした動き、 ○△□ハゼに似ているが、第一背ビレのなんとかが長くて、 模様のシマシマの間にはかすかに点々が・・・
あれはまさしく・・・ グレートウルトラハゼだ!! コレは日本初発見だ! 何としても撮影せねばっ!
緊張が走る カメラを構える彼、
ストロボ角度も調整済み・・・さすがだ じりじりとにじり寄る。 は早い!
あと30cm寄れれば。。。 はうあ~~~ ここで彼の必殺技、スーパーワープの術だ。 一気に間合いを詰めた!!
バクッ ありゃ?彼が消えた・・
当の彼は・・・
「ん? まっくら」 「ここはどこだ? 動けないよ」 「なんか回りに液体のようなものが・・・」
「おわ~~~~~ 手、手が溶けた。。。」
人間も一瞬でカエルアンコウの餌食です。 サメよりコワイですね~。
いつの世も、どんな生き物も、オトコがオンナを取り合うのが正しい図式のようです。
それは生産する精子と卵子の数によって決まっているようで、
圧倒的に余っている精子クンは希少な卵子さんを求めて、激しいバトルを繰り広げるのです。
魚類において、そのバトルとは・・・
ナニの大きさ、立派さを比べることが多く・・・
ナニとはヒレのことですな。。。(^O^)
春ともなれば、そこら中でこんな戦いが繰り広げられています。
深夜のパーキングで車の自慢大会をしている
ヤンキーのお兄ちゃんみたいです。